講演スライド等はOISTER内部用wikiにアップロードしています。
2024年度
第10回 OISTER談話会
講演者: 志達めぐみ 氏 (愛媛大学)
日時:2024年10月25日(金)14:00-15:30
タイトル:X線精密分光と多波長観測で挑むブラックホールX線連星の降着・噴出現象
概要:ブラックホール X 線連星は、星質量ブラックホールと通常の恒星との近接連星系であり、相手の星からブラックホールへのガス降着により、強い電磁波放射やジェットや円盤風(降着円盤に沿った噴出流)といった高速のアウトフローが生じる。2023 年 9 月に打ち上げられた X線天文衛星 XRISM は、かつてないエネルギー分解能を持つ新技術検出器を搭載し、円盤風の噴出機構や周囲へ及ぼす影響の理解を飛躍的に進ませると期待される。また多波長観測を組み合わせることで、増光中の降着円盤・ジェット・円盤風の変化のしくみの解明につながる。本講演では、XRISM の特徴や初期成果を紹介し、X線分光観測を含む多波長観測の今後の展望について述べる。
第9回 OISTER談話会
講演者: 岩切 渉 氏(千葉大学ハドロン宇宙国際研究センター)
日時:2024年 7月2日(火)14:30-16:00
タイトル: 電磁波観測屋はニュートリノ屋のプロダクトを用いてマルチメッセンジャー屋を開業できるか?
概要:宇宙ニュートリノ観測は、南極点付近の氷河深部1450–2450 mに5160個の光検出器を埋設したIceCubeニュートリノ観測施設が100 TeVを超える宇宙由来の高エネルギーニュートリノの検出を可能としたことが大きな転換期となり、約10 TeV – 1 PeV帯域でのニュートリノ背景放射の明るさの測定を行って、これまでに3つの起源を突き止めている。しかし、未だ背景放射の主要な起源天体に関しては特定できていない。本講演ではこれまでの観測結果のまとめと、IceCubeから発出されるアラートの種類の説明などを通して、今後マルチメッセンジャー屋を開業していくにはどのような戦略で挑むべきかを議論したい。
2023年度
第8回 OISTER談話会
講演者: 守屋尭 氏 (国立天文台)
日時:2024年 2月 21日(水)13:00-14:30
タイトル: 超新星の早期観測から明らかにする大質量星の最期の姿
概要: 近年突発天体サーベイが活発に行われ、多くの超新星が爆発直後に発見されるようになってきた。爆発直後の超新星の早期観測により、爆発直前の超新星親星の状態が明らかになり始めている。中でも重力崩壊型超新星の早期観測は爆発直前の大質量星が非常に活動的であることを明らかにしている。また、大質量星の中には爆発直前から光度が上昇し始めるものも存在することが明らかになっている。本講演ではこれまでの超新星の早期観測から得られた爆発直前の大質量星の姿を俯瞰するとともに現在の未解決問題を整理し、今後どのような観測をしていくと良いのかを議論する。
第7回 OISTER談話会
講演者: 峰崎 岳夫 氏(東京大学)
日時:2023年 12月 01日(金)13:00-14:30
タイトル: セイファート銀河・クエーサーの時間軸天文学 (time-domain study for Seyfert galaxies and quasars)
概要: 活動銀河核は銀河中心超巨大質量ブラックホールへの質量降着を エネルギー源とし、その周囲の極小の領域からX線・紫外可視光・ 赤外線・電波にわたる広い波長域において極めて強力な放射が 生じる現象である。遠方にある活動銀河核の中心放射源は地球からは ほぼ点源にしか見えないため、これを解明する観測手法として 分光・偏光とならんで放射の時間変動=変光を利用した手法が 重要であり、古くからマルチメッセンジャー・時間軸天文学的研究が 実施されてきた。本講演では、セイファート銀河・クエーサーの 主に光赤外線波長域における変光の基本的な性質、時間軸解析手法 とその成果について、講演者による研究も交えながら概観する。
第2回 OISTER 初心者向け装置開発講習会
講師: 佐藤修二氏(名古屋大学)
講義・談話会タイトル:「光の計測と天文観測」、「望遠鏡光学400年」
日時: 2023年6月13日(火) 13:30-17:30
会場: 埼玉大学 教育学部A棟 A111教室
講義スライド「光の計測と天文観測」
講義スライド「望遠鏡光学400年(前半)」
講義スライド「望遠鏡光学400年(後半)」
第6回 OISTER談話会
講演者: 寺居 剛 氏(国立天文台 ハワイ観測所)
日時: 2023年 4月 26日(水)15:00 – 16:30 (17時までに終了)
題名: 中小口径望遠鏡による太陽系小天体サイエンス
2022年度
第1回 OISTER 初心者向け装置開発講習会
講師: 高橋 英則氏(東京大学)
講義テーマ: 「天文観測機器開発あれこれ」
日時: 2023年1月11日(水) 13:30-17:30
会場: 東京大学天文学教育研究センター 三鷹キャンパス 講義室
第5回 OISTER談話会
講演者: 前原 裕之 氏(国立天文台)
日時: 2023年 1月 10日(火)15:30 – 17:00
題名: 恒星フレアとそれに伴うプラズマ噴出現象の観測的研究
概要: 太陽・恒星フレアは太陽・恒星大気(コロナ)中で起こる爆発現象で、磁気リコネクションによって黒点付近に蓄えられた磁場のエネルギーを解放する現象である。太陽フレアにおいては、フレアに伴ってコロナ質量放出(CME)と呼ばれるプラズマ噴出現象が発生することがあり、地球にも様々な影響を及ぼす。恒星が系外惑星に与える影響を考える上で恒星CMEも重要であると考えられているが、恒星では太陽と異なり空間分解した観測が難しいため、恒星フレアに伴って太陽と同様にCMEが発生するのかどうかはまだ分かっていない。本講演では、恒星フレアとそれに伴うCME検出についての最近の研究結果や今後どのような観測的研究が必要と考えられるかを紹介する。
2021年度
第4回 OISTER談話会
講演者: 田中雅臣 氏(東北大学)
日時: 2022年 1月 7日(金)17:30 – 19:00
題名: 重力波天体からの電磁波放射: 理論と観測の現状
概要: 2017年に中性子星合体からの重力波が検出され、さらに電磁波対応天体の観測があらゆる波長で行われたことで、マルチメッセンジャー天文学が幕をあけました。本講演では、まず中性子星合体からの可視光・赤外線シグナル(キロノバ)の性質と、予想される多様性に関する理論的理解の現状を紹介します。また、これまでの電磁波追観測の状況をまとめ、今後のマルチメッセンジャー観測に向けた観測戦略を議論します。
第3回 OISTER談話会
講演者: 高橋幸弘 氏(北海道大学)
日時: 2021年 10月 1日(金)15:00 – 16:30
題名: 惑星におけるストームと雷放電活動
概要:ストームは地球を含む多くの惑星で確認されており、惑星全体の大気循環においても重要なや役割を担うことがある。しかしその動態を捉えることは、地球においてさえ、衛星雲撮像や気象レーダー計測など、従来の気象観測の手法では困難である。雷放電はストームの活動をよく反映する現象であり、その計測は比較的安価で容易であり、地球外の惑星においても有効と考えている。私たちは地球での雷放電観測の経験に基づき、各惑星のストームと大気のダイナミクスに、観測的に迫る研究を行なってきた。40年来の金星における雷放電の有無の議論に決着をつけるべく、探査機あかつきに、専用の光学センサーを搭載して観測を継続してきた。運用開始から4年経って雷放電発光の可能性のある現象が記録された。もし金星の雷が雲画像と共に地上望遠鏡で継続観測できれば、金星大気の力学だけでなく、組成など化学的側面にも示唆を与えることができるかもしれない。
第2回 OISTER談話会
講演者:河合誠之氏(東京工業大学)
日時:2021年 8月 26日(木)16:30-18:00
題名:X線連星入門
概要:銀河系内の明るいX線源の多くは中性子星またはブラックホールを含む近接連星であり、極めて強い重力場や磁場における物理法則を試す極限状況の実験室として興味の対象となってきた。天文学的には、大質量星の進化の終点であるとともに、ミリ秒パルサーや重力波源となる連星中性子星の前駆天体であることから、その質量と空間的運動学的分布が重要である。この談話会では、各種のX線連星の基本的な特徴を解説し、可視近赤外線領域を含む興味深い観測を紹介する。
使用言語:日本語
第1回 OISTER談話会
講演者:磯貝桂介 (京都大学・東京大学 研究員)
講演タイトル:激変星概論と最近の観測ターゲット
日時:2021年4月23日(金)
概要:激変星とは主星に白色矮星を持つ近接連星系である。ロシュローブを満たした伴星(主に晩期形星)から主星へとガスの流入があるため、主星の周りには降着円盤が形成される。激変星のうち、降着円盤での光度変動が見られるものを矮新星、白色矮星表面で熱核暴走を起こすものを新星と呼ぶ。本講演では激変星のサブクラスや様々な変光メカニズム、連星進化などを広く浅く取り扱う予定である。また、OISTERを通じて我々がどんな現象を捉えようとしているのかについても簡単に紹介する。