OISTER(光赤外線天文学大学間連携事業)は、国立天文台と大学とが協同で、各々の機関が運用する国内外の可視光・赤外線望遠鏡と観測装置を連携させて推進する研究・教育事業です。様々な時間スケールでの天体の時間変化を追う「時間軸天文学」の先端的研究を柱としつつ、データ解析や現地観測、装置開発などの実践的課題に通じた人材育成に取り組んでいます。

研究の目的と取り組み
各機関の望遠鏡・装置の機能を組み合わせ、突発現象への迅速な追観測や継続的な観測を行います。光・近赤外線での測光、分光、偏光など、多様な観測方法を活用することが本事業の特徴です。
主な研究対象は未知なる突発的宇宙現象です。例えば重力波やニュートリノの検出を受けて光・赤外線で追観測し、それらに対応する天体現象を探ります。異なる観測情報を組み合わせる「マルチメッセンジャー天文学」を通じて、極限環境で起こる物理過程の解明を目指します。また、超新星などの突発天体や、時間とともに明るさが変わる天体を対象とし、宇宙の爆発現象や高エネルギー現象を研究します。
第三期では、こうした観測を通じたマルチメッセンジャー天文学の推進とともに、突発天体の多波長観測による爆発現象・高エネルギー現象の物理機構の解明、光・近赤外線の多様な観測方法による時間軸天文学の推進を研究目標としています。
教育・人材育成
学部生・大学院生を対象とする天文データの解析講習会や、所属機関以外の観測所などで学ぶ短期滞在実習を実施しています。観測・解析や装置開発に触れる機会を通じて、学生・若手研究者の研究に必要な技能の習得を支援します。実施状況は活動成果(教育)をご覧ください。
データ解析講習会では、初学者が実際にパソコンを操作しながら、光・赤外線の観測データの基本的な処理や測光などを学びます。短期滞在実習では、所属機関の枠を越えて望遠鏡・観測装置に触れ、観測や装置開発を経験する機会を設けています。研究のための観測ネットワークを教育にも活用し、学生が各機関の設備や専門性から学べるようにすることも、本事業の重要な役割です。

大学間連携の意義
突発現象・変動天体の性質を調べるには、継続して観測し、明るさや色の変化を追うことが重要です。光赤外線天文学大学間連携事業 OISTERは、各大学・機関が運用する国内外の望遠鏡を連携させ、観測地点や装置の特長を組み合わせて、こうした時間変化を捉えます。
明るさを測る測光、光を波長ごとに分けて調べる分光、光の偏りを調べる偏光観測などを組み合わせることで、天体現象を多面的に調べます。各機関の観測設備と専門知識・経験を持ち寄り、単独の機関では難しい観測や研究に取り組めることが、大学間連携の強みです。
教育面でも、学生が所属機関の枠を越えて、各地の観測設備や専門家から学ぶ機会を設けています。観測・データ解析・装置開発の実践を通じて、次世代の研究を担う人材を育成します。
また、こうした研究・教育や装置開発を通じて培われた観測能力、光学技術、専門人材は、宇宙機の状態把握・運用判断の支援、宇宙利用を支える技術開発にも活用されています。これらの取組は、宇宙利用の安全性・持続性に関わる社会的課題への対応にもつながっています。
連携体制
国立天文台と、北海道大学、埼玉大学、東京大学、東京科学大学、名古屋大学、京都大学、兵庫県立大学、広島大学、鹿児島大学の9大学が連携しています。2026年3月からは、立命館大学が協力機関として参加しています。
2011年度から2016年度までの第一期の事業概要はこちら、2017年度から2021年度までの第二期の事業概要はこちらをご覧ください。