若い惑星環境を揺るがす巨大フレアの多温度噴出現象

2025年11月6日

京都大学白眉センター行方宏介特定助教、国立天文台ハワイ観測所岡山分室前原裕之助教らが率いる国際研究チームは、米国航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡、 京都大学岡山天文台「せいめい」望遠鏡、兵庫県立大学西はりま天文台「なゆた」望遠鏡、韓国天文研究院(KASI)の 普賢山光学天文台(BOAO)望遠鏡などを連携させ、若い太陽型星「りゅう座EK星」で発生した巨大爆発「恒星フレア」を、 紫外線と可視光の両方で同時にとらえることに成功しました。観測の結果、まず約10万度に達する高温ガスが秒速300〜550 kmという猛スピードで噴き出し、その約10分後に、より低温のガスが秒速70 kmで吹き出す様子を、 世界で初めて明らかにしました。今回の発見は、従来知られていた低温ガスに比べ、新たに見つかった高温ガスの方がはるかに大きなエネルギーを持ち、 惑星環境により深刻な影響を与えうることを示しています。今回の成果により、高温・高速ガスの性質や、噴出の頻度が初めて明らかになり、 (太古の太陽を含む)若い太陽型星が生命誕生期の惑星大気に及ぼした影響を理解するための具体的な手がかりが得られました。

本研究成果に基づく学術論文は、2025年10月27日に、国際学術誌「Nature Astronomy」 にオンライン掲載されました。

りゅう座 EK 星のフレアに伴うガス噴出の想像図。高温で速い噴出が青く、低温でゆっくりした噴出が赤く描かれている。(クレジット:国立天文台)

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