日本時間2013年4月23日の夕刻に発生したガンマ線バーストGRB140423A(参考文献1)の残光について、5台の望遠鏡による連携観測に成功した。光・赤外大学間連携事業で整備した観測ネットワークOISTERでは、発生から数時間で消えてしまうガンマ線バーストの検出を狙った即時観測を促すアラートシステムを構築していた。今回、このアラートに呼応して、東京工業大学MITSuME望遠鏡、東京大学木曽シュミット望遠鏡、兵庫県立大学なゆた望遠鏡、国立天文台岡山MITSuME望遠鏡、広島大学かなた望遠鏡によって、可視近赤外多色測光観測が実施された(参考文献2,3,4,5,6)。GRB140423Aは発生後から世界中でフォローアップ観測が実施され、Gemini-N望遠鏡による分光観測で、赤方偏移z~3.26の値が得られている(参考文献7)。
図1 各望遠鏡が観測したGRB140423Aの画像(g’:MITSuME-岡山@国立天文台; Rc,J:かなた@広島大学; Ic:MITSuME-明野@東京工業大学; z’:木曽シュミット@東京大学; H:なゆた@兵庫県立大学)と参照画像(STScl DSSと2MASS)
図1は各望遠鏡が撮像した画像の一覧である。赤丸で囲まれた天体がGRB140423Aである。図1右上下に示した可視領域(STScl DSS)、近赤外領域(2MASS)の比較画像と比べると、赤丸で囲まれた中に該当天体がないことが分かる。これらの観測画像からGRB140323Aの明るさを測定しGCN Circularに報告した。
一刻を争うガンマ線バーストの観測では、予め観測波長を各施設に割り振りしており、今回は、可視波長のg’バンドから近赤外波長Hバンドまで、狙い通りの広範囲のデータ取得に成功した。OISTERでは、遠方で起きたガンマ線バーストの検出を第一ターゲットとしており、今後、このアラートシステムを使った即時連携観測が期待される。
参考文献1: Sonbas et al., 2014, GCN Circular 16142
参考文献2: Fujiwara et al., 2014, GCN Circular 16173
参考文献3: Maehara et al., 2014, GCN Circular 16151
参考文献4: Takahashi and Arai, GCN Circular 16167
参考文献5: Kuroda et al., 2014, GCN Circular 16160
参考文献6: Akitaya et al., 2014, GCN Circular 16163
参考文献7: Tanvir et al., 2014, GCN Circular 16150